蔵書票とは、自分の蔵書に所有を表すために見返しに貼る小票のことです。票主の名前だけでなく、これに多彩な「絵」や「模様」などを盛り込むことによって、次第に小版画としての価値が与えられ、独特の世界を築き上げました。
孔版で蔵書票をつくることが祐生の長年の夢であり、この試みに興味を抱いた方の後援と、その他50名の賛同を得て、昭和24年に「板祐生孔版蔵書票の会」が出来ました。
すべて切り抜き技法で作り上げた蔵書票50人集に凝縮され、「杏青帖(きょうせいちょう)」として完成をみました。
「杏青帖」とは、「杏の青さでは食べようがない、精進して黄色く熟す日を念ずるつもりで『杏朱帖』になる日を夢見つつ……」という祐生の思いから名付けられました。
昭和26年に蔵書票は、我が国のみならず海を渡り、日米工芸交換展覧会でも表彰されました。