○南部町男女共同参画推進条例

平成18年12月25日

条例第31号

すべて国民は、日本国憲法の下、男女の性にかかわりなく個人の尊重と法の下の平等が保障されている。国においては、平成11年6月23日に「男女共同参画社会基本法」を公布、施行し、男女共同参画社会の実現に向けて各種施策を推進してきたところである。

しかしながら、今なお性別による固定的な役割分担意識に起因した差別的取り扱いは、社会慣行として広く存在し、男女共同参画社会の実現には多くの課題が残されている。

このような状況の中、少子高齢化社会の到来、核家族化の進展、地域コミュニティーの希薄化等家庭や地域を取り巻く環境の変化に加え、社会経済情勢の大きな変化に対応していくために、又、豊かな地域社会を創造していくためには、男女が互いにその人権を尊重しつつ、責任を分かち合い、性別にかかわりなく、個性と能力を十分に発揮することができる男女共同参画社会の実現が緊要な課題となっている。

私たちは、緑豊かな山々に囲まれて、四季の彩り豊かな南部町で、男女平等を基本とした男女共同参画社会の実現を図り、男女が協働して心豊かな地域社会を創造していくことを決意し、この条例を制定する。

(目的)

第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、町、町民及び事業者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって男女共同参画社会の実現を図ることを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画 男女が性別にかかわらず個人として尊重され、社会の対等な構成員として自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、均等に政治的、経済的、社会的及び文化的利益を享受することができ、ともに責任を担うことをいう。

(2) 事業者 町内において営利目的、公益目的に関わらず事業を行う法人(法人格のないものも含む。)及び個人をいい、他の個人を雇用している者をいう。

(3) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動により相手方の生活環境を害し、又は性的な言動に対する相手方の対応によってその者に不利益を与えることをいう。

(4) ドメスティック・バイオレンス 配偶者等から受ける身体的、精神的、経済的又は言語的な暴力及び虐待をいう。

(5) 積極的格差是正措置 社会のあらゆる分野における活動に参画する機会に係る男女間の格差を是正するため、必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会をより積極的に提供することをいう。

(基本理念)

第3条 町、町民及び事業者は、次の各号に掲げる事項を基本理念として男女共同参画による町づくりを推進しなければならない。

(1) 男女の個人としての尊厳が重んじられ、男女が性別による差別的取り扱いを受けることなく、個人としての能力を発揮する機会が確保されること。

(2) 性別による固定的な役割分担意識に基づく社会における制度や慣行が、男女の社会における活動の自由な選択に対して影響を及ぼすことのないように配慮されること。

(3) 男女が社会の対等な構成員として、あらゆる分野における意思の形成及び決定に共同して参画する機会が確保されること。

(4) 家族を構成する男女が、相互の協力と社会支援の下、家事、育児、家族の介護その他の家庭生活における活動と職場、地域活動等社会生活とを両立できるようにすること。

(5) 男女が、それぞれの身体的特徴についての理解を深め、妊娠、出産その他の性と生殖に関して互いの意思を尊重し、共に生涯を通じた健康な生活を営むことについて配慮されること。

(6) 女性に対する身体的、心理的、経済的又は性的な暴力は、女性の人権に対する重大な侵害であり、根絶されること。

(7) 国際社会における取組みと協調のもとに行うこと。

(町の責務)

第4条 町は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり男女共同参画の推進に関する施策を総合的に策定し、これを実施しなければならない。

2 町は、男女共同参画の推進にあたり、町民及び事業者と連携して取り組むものとする。

3 町は、男女共同参画の推進について、町民及び事業者の理解が深まるよう、あらゆる場において必要な施策を積極的に講じなければならない。

4 町は、第1項に規定する施策を総合的に企画、調整、実施するために必要な体制を整備するとともに財政上の措置その他必要な措置を講じるよう努めなければならない。

5 町は、国及び他の地方公共団体と連携して男女共同参画の推進に取り組むものとする。

(町民の責務)

第5条 町民は、基本理念に対する理解を深め、家庭、職場、学校、地域その他の社会のあらゆる分野において、積極的に男女共同参画の推進に努めなければならない。

2 町民は、町が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、基本理念に対する理解を深め、事業活動を行うにあたり積極的に男女共同参画の推進に努めなければならない。

2 事業者は、男女が共に、職場における活動と家庭における活動その他の活動とを両立することができるよう職場環境の整備に努めなければならない。

3 事業者は、町が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(性別による権利侵害の禁止)

第7条 何人も、直接的又は間接的を問わず、性別を理由とする権利侵害及び差別的取扱いを行ってはならない。

2 何人も、家庭、地域、学校、職場その他社会のあらゆる分野においてセクシュアル・ハラスメントを行ってはならない。

3 何人も、ドメスティック・バイオレンスを行ってはならない。

(情報の表示に関する留意)

第8条 何人も、公衆に表示する情報において、性別による固定的な役割分担意識又は男女間における暴力的行為を助長させる表現をしないよう努めなければならない。

(基本計画の策定)

第9条 町長は、男女共同参画に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「男女共同参画プラン」という。)を策定するものとする。

2 男女共同参画プランは、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 男女共同参画の推進に関する総合的かつ長期的な施策の大綱

(2) 男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 町長は、男女共同参画プランの策定にあたっては、第16条に定める南部町男女共同参画審議会の意見を聴くとともに、広く町民及び事業者の意見が反映されるよう努めなければならない。

4 町長は、男女共同参画プランを定めたときは、これを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、男女共同参画プランの変更についてこれを準用する。

(普及啓発)

第10条 町は、男女共同参画の推進について、町民及び事業者の理解を得られるよう広報活動の充実その他必要な措置を講ずるものとする。

2 町は、性別を理由とする差別的な取り扱い、セクシャル・ハラスメント及びドメスティック・バイオレンスにより人権を侵害する行為の防止に関する啓発に努めるものとする。

3 町は、家庭、職場、地域社会等あらゆる教育及び学習の場において町民及び事業者が基本理念に対する理解を深めるために必要な措置を講じるものとする。

(積極的格差是正措置)

第11条 町長等は、町の付属機関の委員等を委嘱する場合には、男女の委員の数の均衡を図るよう努めなければならない。

(施策の策定にあたっての配慮)

第12条 町は、あらゆる施策の策定及び実施にあたっては、男女共同参画の推進に配慮しなければならない。

(年次報告)

第13条 町長は、毎年男女共同参画の推進に関する施策の実施状況について報告書を作成し、これを公表するものとする。

(苦情の申出等)

第14条 町民及び事業者は、町が実施する男女共同参画の推進に関する施策又は男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策に関し苦情があるときは、町長に申し出ることができる。

2 町長は、前項の規定による申出を受けたときは、関係機関と連携し、適切な措置を講じなければならない。

3 町長は、前項の措置を講ずるにあたって必要があると認めるときは、第16条に定める南部町男女共同参画審議会の意見を聴くものとする。

(被害者の相談)

第15条 町は、性別を理由とする差別的な取扱い、セクシャル・ハラスメント及びドメスティック・バイオレンスによって人権が侵害された者から相談があった場合には、関係機関との連携を図り、適切な措置を講じなければならない。

(設置)

第16条 男女共同参画を推進するうえで必要な事項を審議するため南部町男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を設置する。

2 審議会は、町長の諮問に応じて男女共同参画プラン及び男女共同参画の推進に関する重要事項について調査審議し、その結果を町長に答申する。

3 審議会は、男女共同参画の推進に関し必要と認める事項について調査審議し、町長に対し、意見を述べることができる。

(組織等)

第17条 審議会は、委員10人以内で組織する。

2 男女のいずれか一方の委員の数は、委員の総数の10分の4未満であってはならない。

3 委員のうち5人は公募に応じたものから、その他の委員は、学識経験を有する者から、町長が任命する。

4 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

5 審議会に、会長及び副会長各1人を置き、委員の互選によりこれを定める。

6 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。

7 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。

(会議)

第18条 審議会は、会長が招集し、会長が会議の議長となる。

2 審議会は、委員の過半数が出席しなければ会議を開くことができない。

3 審議会の議事は、出席委員の過半数で決定し、可否同数のときは、議長の決するところによる。

(庶務)

第19条 審議会の庶務は、町民生活課において処理する。

(委任)

第20条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。

この条例は、公布の日から施行する。

南部町男女共同参画推進条例

平成18年12月25日 条例第31号

(平成18年12月25日施行)