学びのコラム
やってきた!『イヤイヤ期』をどう乗り切る!?
大阪教育大学准教授 小﨑 恭弘先生

それまでとてもかわいくて天使のような存在の赤ちゃん!目に入れてもいたくない!と、昔の人はうまく言いました。
しかしそん な密月が壊れる瞬間がやってきます。いわゆる『イヤイヤ期』の到来です。「ごはん食べる?」「いや!」、「一緒にしようか?」「いや、あっちいって!」、 「これちょうだい」「いや!」・・・・・・。もうこうなったら何をしても、どういってもダメです。一般的には「第1次反抗期」といいます。もちろん子どもの 成長の証であり、人の自然な発育の中において当然出てくる状態なのです。これらを保育所では、「恐怖の2歳児!」「魔の2歳児!」と呼んだりします。とに かく大変な時期であり、また対応にとても苦慮することもあります。

0、1歳児はママとおっぱいでつながっており、単純に言うと「ママと私は一緒」という感覚です。つまり大人のできることは何でも自分もできるとい う、万能感があります。しかし2歳になり少し成長していき、自分でできると思っていたことができないことや、思い通りにならないことに、気づき始めます。 そのうまくいかない、思い通りにならないいら立ちが、この時期の反抗心や独立心につながります。
子どもにとってはとても大切な成長のタイミングなのですが、親や周りの大人からすればとても対応の難しい、困難な状態が続く時期に見えます。保育士時代2歳児の担当をしていましたが、なかなか大変な1年間でした。
「アンパンマンのパンツはくー」「ヨーグルト食べたかった」「あっちに行きたかった―」と、それぞれの泣く、怒る、すねる等の理由が親にはまったく理解ができない。そして不合理、不条理です。またそのことにこちらも腹が立ったり、いらだったりします。
しかしこの時期の子どもたちは単純に言ってしまえば「そんなもの」です。悪意もなければ、意地悪な気持ちもない。単純に嫌なだけです。それも自分ではコントロールのしようがない。本能のままの動物的な生き物なんです。

彼らを「かわいい子ども」と思っていませんか?だからうまくいかないのです。最初から彼らを「恐竜」だと思いましょう。それも地上最強のティラノザウルス級だと。そう思うと普段のイヤイヤな行動なども、少しは許せませんか?
子育てって基本的にうまくいかないもの。彼らは生まれた時から親とは別の存在で、一人一人がとても個性的です。親はなぜか「子育てはきっとうまくいく」と思いがちです。だから最初にそのハードルを少し下げて、「うまくいったらラッキー!」ぐらいで2歳児と付き合ってあげてくださいね。意外にうまくいきますよ!